takashisatoのここだけの話

仕事のことをたまに、普段考えるいろいろなこととか、近所の勝どきとか豊洲の話も

とある開発者の話

内情を赤裸々に書き過ぎると各方面から怒られそうなので、ある程度ぼかしながら書くんだけど、私がモブキャストに入って最初にやったことは、プラットフォーム化という仕事だった。その当時絶好調だったWebサッカーというゲームは、ゲムッパというポータルサイト上で配信されているように見せかけてはいたけれど単なるゲームが配信されている状態に限りなく近かった。ポータル側で当時出来ていた機能とは、会員情報の登録とメールマガジンの購読管理程度であった。仮想通貨についても、ポータル共通の仮想通貨ではなく、Webサッカー専用の仮想通貨であった。

一日数千人が入会を続け、月間数千万円の仮想通貨の流通がある状態のゲームをそのまま引き継ぎつつ、そこに他のゲームを横軸で配信できる仕組みを作り、SNS機能を同時に実装する、というややこしい仕事を最初に担当することになった。当時は社員が10数人しかおらず、しかも同時並行でプロ野球ゲームの開発が進んでおり、しかもこのゲームはこれから開発しようしている新システム上で稼働させることが必須となっていた。当時はモバゲータウン向けにもソーシャルゲームの開発のラインが稼働していたため余剰リソースがあるわけもなく、進捗を遅らせるわけにも行かないけどエンジニアがいない、という状況で開発者の公募を行ったのであったが、なかなかよい人と巡り合えなかった。

そんなとき、最後の最後に応募してくれたのが、Rさんという中国人のプログラマーであった。なぜ採用したかといえば、日本語があまり喋れなかったけれど、やたらと文章力があり頭がよさそうだったこと、大学院まで卒業して、わざわざ日本に来て開発者をやっているということ、そして開発者受けしそうな優しい雰囲気の女性であったこと、現在退職しておりすぐに出社が可能、などが理由だったと今からふりかえると多分そう思う。

しかし、彼女はB2Cの事業形態のベンチャーで、仕様を考えながら同時に最小限度の開発をしつつ軌道修正しながら完成度を上げていく(今風に言うならリーンスタートアップ的手法かと思う)、といったスタイルで仕事をしていくことの経験があるわけでもなく、正直最初はかなり混乱していた。私は仕様書を一切作らず、彼女と相談しつつホワイトボードにいろいろ書いて説明してその場で仕様を決めたりしながらどんどん進めていたのだけれど、はたから見ていた他の開発者や社長は、早口の私の日本語をそもそも日本語ネイティブでもない中国人に理解させ、破天荒な開発スタイルでコードを書かせ、私の単なる手足となって動かされていた彼女を見て、一種の山ごもり修行みたいな感じだな、と言っていた。

その後なんとか最小限度の機能開発で、周りの手助けももらいつつ、入退会の新しい仕組みとapiが完成し、その直後にモバプロのクローズドサービス提供が開始できた。そのあとで招待インセンティブの仕組みを作り、年末に提供が開始できたが、SNS機能や、仮想通貨の共通化や、Webサッカーとの連携については、段階的に行う、というスタイルとなった。正直実質私とRさん二人で進めていたプロジェクトだったので、これが限界だったと思う。あと大きかったのは、モブキャストのゲーム開発側にいたかなり優秀なエンジニアの人にいろいろと助けてもらって、彼女もいろいろと経験を積んでいくことだったと思う。

その後、SNS機能が翌年の2月、共通通貨の仕組みは翌年の4月と順次開発範囲が広がっていくわけだが、最初からスケールアウトすることを前提に開発していなかったにも関わらず、その後なんとか拡張を重ねてサービス提供を実現できているのはなんかすごいなあ、と思ってしまう。そしてこのRさん、途中からコツを掴んだらしくプログラムを書くスピードがかなり早くなり、突貫で仕様を変更したり、突発的に追加機能を作る必要が出た時にも機敏に対応できたのは私がこれまで接してきた未経験のエンジニアのなかではなかなか器用な部類に入っていたのではないか、と思う。

そんな、ポータルシステム開発部隊も、今では人がかなり増えることになった。最初の増員のきっかけは、昨年5月の連休のときにあわせてRさんが結婚式をするとかで2週間ほど中国に帰りたいと突然言い出したことから始まった。(そのときはRさん以外にポータルの開発ができるのは直接私がphpのコードを書くことぐらいだった)Rさんにその後、めでたく赤ちゃんが出来、中国人でもストックオプションをもらい、この15日で産休に入り会社も上場する、というのはなんというか古くからの開発を知るものとしては、ひとつの節目に来ているのかなと思った。

そんな彼女の送別会が明日あるとかで、どんな言葉をかければよいかわからなかったので、文章にまとめてみることにした。

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